『アキラ、ハナちゃん、お元気ですか?』


僕は手の中にある手紙の冒頭を思い出していた。

教室の外に目をやると、まだ暑いものの、日光が作り出す陰影は秋を感じさせた。

そういえば、自宅前のセミも、いつのまにか過ぎ去った季節を恋しがるように鳴く種類のものに変わり、僕のノートは湿り気を帯びないようになっていた。