「遠くに行くんだよね? 柊さん。先輩に聞いたよ?」 神崎さんは僕の目をじっと見ながらそう言う。 「いや、まだ決まってないよ……」 僕は神崎さんから目を逸らし、今年の夏限定のポテトチップスの袋を触りながらそう答えた。 厚切り粗塩味。 「ふ~ん……」 神崎さんの方を見ると、もう、僕なんかには興味がないみたいに、アイスクリームのケースの方に歩いていっていた。