無茶言うなよ

彼女が、もぞもぞと動いて、上を向いた。

「っぷは」

と、水から顔をあげたような息を吐くから、

「あ、わりっ……」

俺はあんまりにも強く、彼女を抱き締め過ぎてたのに気付いた。

慌てて謝った俺に、

「……いいよ、別に」

彼女は、俺の背中へ腕を滑らせながら答えた。

「アンタ、正解だよ。私、こうしてほしかった」

「え?」

「わかんないの? あのねぇ、女の子はさみしいんだよ、いつだって。だから、いつだってギュってされたいの。心も、体も、ギュって」