無茶言うなよ

「ずりぃことばっか言うなよ!」

と俺は、腕の中の彼女を、本当に強く抱き締める。

抱き締める。抱き締める。

「別れようとか、当てろとか……そんな俺、超能力者じゃねぇよ、普通の、お前の彼氏だよ。無茶言うなよ」

ジィジィと、虫の声が聞こえる。

「俺、お前のこと好きだよ、それじゃダメなのかよ? つか、お前だって俺のこと好きなくせに……なんなんだよ、わけわかんねぇよっ!」

わかんねぇから……だから、一緒に、そういうしこりを取り除いていきたいって、思うんだ。