無茶言うなよ

彼女が突然、別れてくれと言った。

それは、帰りのバス停のことで。

彼女が部活が終わるのを待っていてくれた今は、もう、街灯の明かりがポツポツと目立つ、『夜』になっていた。

人なんてあまり通らない、田舎でも都会でもない町の、さびしいバス停。

「別れて」

と、彼女はもう一度、うつむいたまま、俺の顔を見ずに言った。

「な、なんだよ、急に」

向こう側の歩道で、よくわからない虫がジィジィ鳴いていた。

彼女が言う。