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ステージでどっと疲れたのか、スーツに袖を通した時にはもうクタクタだった。

ご満悦の表情を浮かべる女性スタッフ達を見て、自分の女度はやはり低いのかも、と思った。




「山本さん、少しいいかしら」




水鳥さんがよそゆきの声で私の名前を呼んだ。

それだけで、クライアントの前に出ると判ったので身支度をしっかり整えた。

名刺の準備をして、水鳥さんの所へ急いだ。




「こちら、今回主催のBijou-brillant(ビジュ・ブリアント)会長の御堂蒼(ミドウアオイ)様。御堂様、こちらが来年のメインアシスタント、山本時雨ですわ」


「ご紹介に預かりました、山本と申します。お初にお目にかかります」


「あら、ご丁寧にありがとう。Bijou-brillantで会長をしております、御堂と申します。可愛らしい方ね」


「御堂様は、尾上部長と古いお付き合いでいらっしゃるのよ」


「そうでしたか。では部長がかなり若い頃から、という事でしょうか」


「そういうことに、なりますわね」




ぱりっとした小柄な女性。

けれども、身に纏うオーラは貫禄以外の何者でもない。


近くで見ると少し年齢を感じるけれど、まだまだ現役でいらっしゃるその姿は、女性の鏡のように思えた。