その人は私を下ろし、風呂敷を結び直し始めた。


今時珍しく着物を着ている。

腰には鞘……?



「あなた誰……?歴オタかなにか?」



「バカ。違うよ。

…………もう見られちゃったから言うけど、俺は泥棒。」



「は?」



「知らない?『平成の大泥棒 ミル』って。」



聞いたことがある。

なんか悪徳企業からお金を盗んでは、貧しい人たちへの寄付金にしてるとかいう……。




「じゃあなんでその大泥棒さんが私の名前知ってるの……?」



「なーに言ってんの?

さっき会ったばっかりじゃん。」



「は?」




「宮野千歳。

瀬川伊緒、あんたのクラスメイトだよ。」