そのとき、映画が始まるアナウンスが流れた。
「すみません。今から映画観るので。
またご飯食べに来てください。」
『おうよ!お幸せにな!』
携帯をマナーモードにし、劇場に入った。
暗闇のなか、手招きをする人の隣に座る。
「何してたの?」
「新見さんに電話。」
「えっ……」
千歳は私を睨んでいるっぽいが、
無視してスクリーンを見続けた。
*****
「ああー、おもしろかった」
映画館を出て、帰路で素直に感想を述べた。
「えっ、おもしろかったの?」
「えっ、おもしろくなかったの?」
「だって、あれ、ホラーだぞ?
俺は……もっと、こう……
『きゃっ、怖いっ』みたいのを期待してあれを選んだんだけど……。」
「ビックリはしたけど……
怖くはなかった。」
「そうですか……。流石です……。」
なぜか千歳はがっかりしている。
普通におもしろかったのに……。
私たちは家に到着した。



