「よお。」 手を軽く上げて、笑顔を作る。 「何の用ですか。」 千歳の目はまた元通り、どこまでも暗く、悲しいものに戻っていた。 「三舟屋の団子買ってきたんだ。 一緒に食おう。」 「帰ってください。」 あっけなくドアは閉められた。 「おい、千歳ぇ。開けろよ。」 ドアをドンドンと叩き続ける。 しばらくの沈黙のあと、 「いい加減にしろ!!」 という怒鳴り声が部屋の中から響いた。