「新しい家、決めたのか?」


朝、珍しく陽が千歳に尋ねた。


「なになに?出ていってほしくないの?」


「逆。」


「ちぇっ、なんだよぉ」



千歳は子供が好きだ。


でも陽にはすごく嫌われている。



「決まったよ?ちゃんと明日出ていくから。」



「そう……。」


ついため息が漏れた。


「何?寂しい?」



「っなっ!違う!」



「俺は寂しいよ。」



グッッ……


ダメだ……


持っていかれる……



「私は早く出てって欲しかった!!」


「嘘言っちゃって、かーわい」


顔が一気に熱を帯びる。



こいつといると、『無感情瀬川』の異名が崩れさる……。