「……あ、雪だ」
わたしの声に、宏くんが空を仰いだ。
自転車を押している手の、左手だけ離して確認する。
「うえーまじかよ、……まじだ」
吐いた息が白いのを見て、余計寒そうにマフラーに顔をうずめた。
………今日はいい日だ。
星座占いも血液型占いも、ぶっちぎりの一位の日なんだ。絶対。
学校の外で会えて、しかも、隣を歩けるなんて。
「どうした、茶倉」
「えっ?」
「なんかいいことあった?」
宏くんが笑う。
やばい。喜ぶ顔を見られてたらしい。
あやしい人じゃありませんよって、早く否定しなきゃいけないのに、宏くんが微笑んだ顔をまともに見てしまったからうまく言葉が出ない。
「………な、なにもない……」
「ふはっ」
吹き出した宏くん。
また、白い息が宙を舞う。
笑われた。


