使い古しの、キズだらけの言葉だけど それでもきみをあたためたいと思った * 「……茶倉になら、いいかもなあ」 白くてやわらかい雪が 不安定に舞う頃、彼はつぶやいた。 マフラーに顔をうずめて空を上目づかいで見る彼の表情には、見覚えがあった。 あの日もこんな冬だった。 わたしは彼にあの言葉を、言ってしまいそうだった。