早苗と出会ったのは3年前。


初めて会ったとき。
駅の前のベンチに座って、今にも泣き出しそうな顔をしてた。

オレは、彼氏にフラれたのかなって思っただけだった。
それだけだったはずなのに。

家に帰るまでの間、その横顔が頭から離れなくなってた。


気がついたら、オレは駅への道を走ってた。
彼女になにか出来るわけでもないのに。

でも。
もう一人のオレが言ったんだ。


「おまえが行かなきゃダメなんだよ」

「今行かなきゃダメなんだ」