美海「ねぇ、温度上げてもいい?」



あ、もう誰も気付いてくれないって判断したんだ。

うん、俺も今動きたくないからよかった。

なんとなく、美海の言いたいこと分かってたから気付かないフリしてたんだけど。



龍「寒いのか?」

美海「えぇ、少しだけ」

龍「紫音、温度上げろ」

紫音「えぇ~、僕~?」



駄々を捏ねる紫音に龍は無言の一睨み。


…………。



紫音「……分かったよぉ」



龍が睨んだら怖いもんな。

俺でも嫌だ。



紫音「んじゃ、20℃にするねー」



20℃でも美海にとっては寒いんじゃね?

今まで何度にしてたんだ…。



美海「……私、下に行ってくるわね」

龍「何しに行くんだ」

美海「下の子達と話してくるわ」

龍「気を付けろよ」

美海「えぇ」



俺も行こうかな。

ちと、寒いし。

動きたくないけど。


「美海、俺も着いてく」


美海は綺麗に微笑んでから、

「行きましょ」と言って部屋を出た。