『あの、私、水野杏里って言います…!! 先輩のこと、入学式の時から好きです!! 付き合って下さい…』 緊張しまくりの私に、先輩は爽やかな笑顔を見せ、一言、 『…いいよ!』 と言ってくれた。 私は信じられなくて、何度か聞き返してしまったけど、本当なんだと分かると、すごく嬉しかった。 ほら、先輩は優しいじゃない。 あいつの言ったことなんて、ウソに決まってる。 この時、そう確信していた。 …──それが、7月のことだった。