「だから、あの時の樹くんの気持ちはわかるの。

私、もう怒ってないよ?」



樹くんのおかげで絋君に会えた。



あんなことがなければ絋君のことは遠くから眺めているだけだったのかもしれない。



「雪乃ちゃん……。ありがとう」



近づくことはなく、無理しているような笑顔を見せ、「ありがとう」そう言った。