ドクンッ。 心臓が一瞬だけ、止まった気がした。 「樹、君……」 なんで、なんで。嘘でしょ。嫌だ。 体が、震えだした。 「高野は、椎名の後ろの席を使ってくれ」 先生の言葉、指差す方に反応して、樹くんがこちらを見る。 嫌だ、来ないで。近寄らないで。 体がまた、小刻みに震えだす。 怖い、怖い。 ……絋君、助けて。