君想歌

色恋のイの字も知らず、
する行動もどちらかと言うと
大胆。

「くくっ。もう駄目。
和泉のことますます気に入った」

真っ赤になっている和泉に
堪えることなく栄太郎は笑う。

「ま、会う場所はあそこでね。
新選組の屯所の回りを
彷徨くのはまずいからね」

屯所の前を人が通ることなんて
少ない。

だから門番から惜し気もなく
鋭い視線を向けられるだろう。

立ち止まり中の様子を覗く
怪しい奴がいるなんて言われ
誤解されかねない。

「うん!用事が無いとき以外には
行くよ」

頷くと運ばれて来た
京料理に箸を伸ばした。


「和泉はさ、俺のこと
疑わないんだ?」

おもむろに話し出した
栄太郎にきょとんと首を傾げた。


「こうやって言い寄って
新選組の情報聞き出すかも
しれないってこと?」

「そう。
それにもし俺がさ。
長州の人間だったら?」

栄太郎の言葉に口元を押さえ
肩を小刻みに震わせながら笑う。

「あのね。
私は新選組の前に女。
遠回しより身体の自由を奪い
情報を吐かせる方が圧倒的に楽。

それとこれだけは知ってて?」

机に肘をつき和泉は栄太郎と
視線を交わらせる。