ゴールまで残り5メートル。

完全勝利を確信し、後ろを振り返る余裕まで見せたチーター獣人は。

「!?」

めのうの姿が見えなくなった事に驚く。

姿が見えなくなるほどに引き離してはいない筈だが。

どこかで転倒したのか?

いや、違う。

気が付けば。

「お先♪」

めのうはチーター獣人の横を、尋常ならざるスピードで駆け抜けていた!

高速歩法・縮地。

達人ならば必須の瞬動術を、めのうもまた当然のように習得していた。

彼女とて同じ夕城の剣客。

瑠璃や孔雀が使える技を、使えない筈がない。

「女の子を、嘗めないでよね」