「蚊が刺すし葉や枝で肌を切るし最悪アルな」

山子退治のメンバーの中では、一番こういった行動に慣れていない鬼龍が文句を言う。

「戻ってもいいぞ、鬼龍。俺が無理強いしたようなものだしな」

先頭を歩く瑠璃が言う。

確かに本音は旅館に戻りたかったが、大好きな瑠璃が頼りにして同行を申し出てくれたのだ。

鬼龍としてはお役に立ちたかった。

「鬼龍先輩、無理はしない方がいいですよ?相手は人間社会に溶け込んでいない本性丸出しの人外ですから…」

咲花が言う。

天神学園に通っている人外の生徒のように、理知的な相手ではないかもしれないのだ。

危険が伴う事には違いなかった。