やがて連れてこられたのは、大広間と呼べるほどの畳部屋だった。
畳が何畳あるのか数えて回りたい。
それぐらいに広かった。
「環!」
キョロキョロと辺りを見回していると、奥の方で人影が動いた。
目を凝らしてソレを見つめる。
暗闇から顔をのぞかせたのは、見覚えのある、母親のあきこによく似た面持ちの中年男性。
「環、覚えとるか」
「……国昭おっちゃん?」
「おお、そうや、そうや。おっきなったなぁ、見間違いや思たわ、へへっ。お母さんに似てきたわ、ほんま。そっくりや」
ペラペラとよく動く口元をぼんやり眺める。
この人が、あきこの実兄、鮎川国昭。
ひょろひょろにやせ細っていて、頬が痩けている。
まだうっすらとある記憶の中の国昭は、腹がぽっこりと出ていたし、全体的にもっと丸かったような気がする。
まるで別人だ。
チラリと見えている腕なんか、骨と皮だけのようだ。
国昭が近付いて、荒い息を吐いた。
「ほんま、環が来てくれて良かった。さすが、俺の姪やわ、家族思いの優しい子」
「おい、近すぎやぞ鮎川」
「あ、ああ。すまん、すまん。そんなつもりは……久しぶりの再会やねんから、へへっ、ええやないか、な?」
国昭が必死に、鮫島に許しを請う。
けれど彼の鋭い目つきに萎縮したのか、そろそろと後ずさってわたしから距離をとった。
