サァっと、血の気が引いていく音がした。
『電話に出たら、アカンよ』
母の声が頭の中で必死に警鐘を鳴らす。
この人達は、キケンだ。
扉を閉めようと手に力を込める。
ガツッ
鮫島の足がそれを拒んだ。
「あの、なんのことかわからないし、わたしはあなた方とは面識ないはずや。……鮫島さんは、ロビーですれ違ったかもしれへんけど……でも、それだけや」
「覚えとってくれた? あん時、ほんまは連れていこうと思っとったんやけど」
「は?」
ぐいっと腕を引っ張られて、背後で扉が閉まる音がする。
抵抗力が弱っている今、どうしても抗えなかった。
かれらはわたしを、知っている。
鮫島と安崎は、最初からわたしを狙って、ここにきた。
国明おっちゃんの存在を知っているということは、そのスジの人たちなのには変わりない。
「小西環ちゃん。ちょっと来てもらおか」
「行かへん」
「いや、行く行かへんやのうて、来なあかんねん。それぐらいわかるやろ」
安崎の目が光る。
責め立てるような安崎の口調に、びくりと身体を震わせる。
その様子を見てか、鮫島が盛大に舌打ちをした。
「おい、ヤス。お前、車まわしてこい」
「ちょっと鮫島はん怖いて。そんな睨まんといてーや、照れるやんけ」
「さっさ行け。お前がおるから環ちゃんが納得せえへんねん。はよ行け!」
「おっ、おう!」
安崎が慌ててその場から去る。
