「環ー、環ー?」
どっくん、どっくん。
「あ、おった、環。ちょっと、起きてんねやったら返事くらい……うわ。汗びっしょりやん」
「真奈美か……」
いつの間にか眠っていたらしい。
夢現か、電話に出てしまったかと思った。
勝手に部屋の扉を開けて入ってきたのは真奈美だった。
彼女の手にはプリントらしきものが握られていて、たぶん、目的はそれを届けに来てくれたのだろうけど。
汗まみれのわたしの上にかぶさっている布団をはぎとると、カバンから取り出したのはフェイスタオルだった。
「お湯借りるな」
「ええよ、着替えるだけでええから」
「あかん。悪化したらどないするん。ええからお湯、借りるからな。あ、あと下でほのちゃんと会うたからもうちょいしたらあがってくるんちゃうかな」
「…………わかった」
ほのかも来てたのか。
汗で湿気たTシャツを脱ぎながら、お茶でも用意するべきかと逡巡する。
てきとうにシャツを羽織って廊下に出ると、ひんやりと乾いた空気が身体を纏った。
ジャー、という音が洗面所から聞こえてくる。きっとお湯を出すのに奮闘しているのだろう。ときどき真奈美が「あれー?」と言いながらパネルを操作する音が響きわたる。
ピンポーン。ピンポーン。
「ほのかかな」
汗と一緒に放熱されて、少し良くなった気分を隠さずに、わたしは扉を開けた。
「こんにちは」
