「おい!!!ラミアス様は、どこだ!」




その少し前にセレビア国の王宮は大騒ぎをしていた。


夜に第一王子のラミアスが城を抜けだしたのだ。


彼は頭も良く、剣術の腕前も強く、まさに文武両道の見本である。


また、容姿も良く、かなりモテている。


彼は、いつも頭のよさを使い、城を抜け出す。


これには、王もカンカンであった。


そして、ついに王子の捕縛隊を結成させた。


青黒い髪には少しのくせがたっており、青い瞳はより賢そうに見える。


宮殿内が凄いパニックになっているのにも関わらず、セレビア国の町を普通に歩いているアニアとシンシア。


「ねえ、アニア?思うんだけど、鍵を取り戻すには悪魔と戦わなくちゃいけないんでしょ?」


シンシアは燃えるような赤い髪を揺らしながら聞く。


「ええ。そうね……。そういえば、私は手ぶらで来ちゃたんだわ。」



アニアは思い出したように言う。


「それ、そういえばどころじゃないよ!早く買いに行くべきだよ。」


シンシアは必死に訴える。


「……。ええ。だから、今行こうと思ってたのよ。」



アニアは不機嫌そうに答えて、歩みを速めた。


そして、いいお店を見つけたようにパッと顔を輝かせた。


「アニア。本当にこの店でいいの?もっと豪華な店もあるのに……。」


それを聞いたアニアはわかっていないなとでも言うように顔をしかめた。


「シンシア。覚えておいた方が良いわ。素朴な店には普通に名刀が置いてあったりするのよ。だから、普通にありそうな店の方が豪華な店よりもお得なのよ。」



シンシアはアニアの話が良くわからないが、逆らえなかった。



だって、アニアに逆らったら、何されるかわかんないじゃん。


アニアはフェアリークイーンなんだからさ…。