そんな俺の想いを知りもしないだろう美海は、

さきほどの表情が嘘のようにはしゃいでいる。

…いや、ちがう。

さっきのことを気にしてるから

無駄に元気よく振る舞おうとしている。

いつの間にか日は傾きかけていて、

暗くなってきていた。

俺は美海の腕をつかんだ。

美「爽?」

美海の声に答えず、俺は歩き出す。

目の前の大きな遊具──観覧車に向かって。

美「そ、う…!?」

驚いたような美海の声。

俺は、なぜか人が並んでいなかったことに

安堵して、そのまま乗り込んだ。

美「そ…っ!」

おれの名前を呼ぼうとした美海を抱きしめる。