My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



その様子を見て、今のこの状況を一気に頭の中で理解する

その瞬間、頭の中を臨戦態勢に変えた




「ソフィア、来い!」

「何事だ!?」



震える小さな子供を抱きしめて、ソフィアが俺を見上げて問いかける

その腕の中にいる子供も訳が分からず脅えている




まだ、この騒ぎの真相は分からない

でも、きっと




「ガスパルだ」



――残党だ。




一瞬目を見開いた彼女の腕を取って、勢いよく立たせる

それでも、ぐっと唇を噛んで人々の走ってくる流れの先を見つめる彼女



まるで、憎い者を見る様な目で