「別に今が楽しければそれで──」 ───ゴスッ…!! その刹那、そんな鈍い音と共に、私を壁 に押さえつけていた男が吹っ飛んで。 現れたのは──。 「美姫に触ってんなよ」 とても冷たい眼差しで男を見下ろす、先 輩だった──……。 「お、大川……!?」 先輩に殴られていない方の男が、虚を突 かれたような声を上げる。 私はといえば、ビックリしたのと、安心 したのとで腰がぬけて、その場にへたり こみながら放心していた。 そんな私に先輩が近付いて、私の顔をの ぞきこむ。 「美姫、大丈夫?」