【完】恋のキューピットは山田君!






ムカつく。

なんでこいつ、こんな危機感ないの?



それとも俺を妬かせたくて、わざとやっ
てんの?……って、そりゃないか。



美姫の傍へと行き、美姫を揺すり起こす




「美姫、おい、起きろ」

「ん~……?」



モゾモゾと動きながら、ゆっくりと瞼を
開く美姫。



とろん、と潤んだ瞳で見つめられて、心
臓が大袈裟に跳ねたのがわかった。



「あれぇ……山田君~……?」

「……帰るぞ」



山田君だぁ~、なんて言いながら、俺の
頬をペタペタと触ってくる美姫を抱き上
げる。



「邪魔したな」



帰り際、俺は男にそう言って、アパート
を出てきた。




「……よっ、と…」