挑発してるとしか思えないその言葉。
『あんたのとこの彼女さ、酔い潰れちゃ
ってんだけど、迎えに来てくんない?』
「は?」
『とりあえずタクシーで俺んち向かって
るから。住所は──』
ソイツの住所を聞いてから、通話を切る
。
思わず、ディスプレイごと壊しそうなく
らいに、スマホを俺は握りしめていた。
美姫と一緒に居るらしいその男が、通話
が切れる直前に言ってきた言葉が、頭を
離れない。
──早く来ないと、襲っちゃうかも。こ
んなチャンス、そうそう無いし。
ああ、ムカつく。
美姫も、なに他の男の家になんて行って
るわけ?
もう一度、キツく教えるべきだな。
美姫が、誰のものなのかってことを。
◆◆◆
「ここか……」


