俺は美姫みたいに鈍感じゃないから、自
分の容姿が万人受けすることくらい、知
ってる。──というか、当たり前だ。
だって天使に、不細工なんているはずな
いだろ?天使の顔は、皆に気に入られる
顔だと決まってるんだ。
だから天界には、いわゆる、"美男美女"
しか居ない。
「こんな時間じゃ、あまりお店はないよ
」
「私、こう見えて自炊得意なんですぅ」
……それはつまり、家に誘ってるの?
行くわけ無いだろ。好きでもない女の家
になんて、と内心毒づきながら、笑顔を
作る。
「遠慮しておくよ。俺、彼女居るから」
そういい残し、呆然とする女の子の横を
通り過ぎる。
彼女が居るって言うと、そのことを根掘
り葉掘りと訊かれて面倒だから言わなか
ったけど、こんなことなら、言った方が
マシだ。
そして、外に出た時。
──プルルル……プルルル……


