「な、なんで……」



お城に戻ると、私達を見つけたスイが、
驚いたように目をみはった。



そんなスイに、山田君が苦笑いする。



「せっかく協力してくれたのに悪い」

「それがわかっているならどうして…」

「やっぱり、このまま逃げるのはよくな
いと思って」



そう言った山田君に、納得出来ない、と
いうようにスイが顔を歪める。



「私が言ったんだよ!」



なんだか山田君一人が責められてるみた
いで、慌ててそう言って会話に割り込む




「……親父の所、案内してくれねえ?」



山田君がちょっと笑ってそう言うと、「
こっちです」とスイは渋々というように
歩き出した。



どうやら山田君のお父さんは、昨日と同
じ場所に居るようだった。



私達をあの大きなチョコレート色の扉の
前まで連れてきてくれたスイは、拗ねた
ように唇を尖らせる。