さらっと酷いことを言って、絶対零度の
眼差しを山田君に向けるスイ。
それからしばらく二人はああだこうだと
言い合った後で、スイがふと、言葉を紡
いだ。
「レオン、これからどうするつもりです
か」
その時のスイの瞳は、今までの山田君を
馬鹿にするようなモノじゃなく、至って
真剣だった。
それに釣られるように、山田君も真剣な
表情になる。
「ここに居たってあの頑固親父は変わら
ない。……だから俺は、美姫と日本に戻
る」
え、戻れるの?
「そんなのは無駄です。旦那様があなた
に逮捕状を突きつける限り、あなたは連
れ戻される……そのくらい、わかってる
でしょう」
それに、と言葉を繋げるスイ。
「この敷地内から抜け出すのも、そう安
易では無いんですよ」
「そんなの承知の上だ。スイがもし、俺
らを邪魔するっていうなら、俺は容赦し
ない」


