だけど山田君は、私を解放するどころか
、更に強く抱き締めてきた。



「ちょ、山田君!!」

「ははっ、美姫、すげードキドキしてる


「うっ、うっさい馬鹿!!」



カアッと顔が熱くなる。



こんな風に抱き締められて密着してたら
、誰だってドキドキしちゃうに決まって
る。



「もう!離れろ変態!!」

「恋人に向かって"変態"とは……容赦ね
ーのな、お前」



クツクツと喉の奥で笑いながら、私の頭
を撫でてくる山田君。



「だから……っ、離してってば!!」

「やだ。真っ赤になってる美姫、可愛い
んだもん。もっといじめたい」



もん、とか語尾可愛くしても無意味だし
!!

いじめたいとかあんたはSか!と怒鳴ろ
うとした時。



「レオン、彼女から離れて下さい」



そんな声と共に、山田君の頭頂部が、何
かぶ厚いものでガスッという痛々しい音
と一緒に叩かれた。