そんな山田君の言葉に、お父さんが大き
く目を見開く。
そして、怒ったような表情になった。
「ふざけるな!そんなのが許されると思
ってんのか!?」
「許されるとか許されないとか、どうで
もいい。……俺、本当に欲しいものが出
来たんだよ。
俺が欲しいのは、地位でも名声でもない
。──こいつだけ、なんだ」
そう言うと山田君は私を抱き寄せ、ちゅ
っ、と触れるだけのキスを落としてきた
。
きゃーっ!!!
おおお父さまの前でなんてことを!!
こいつに恥じらいというモノはないのか
!
「──このまま話してても埒があかない
。また明日にしよう。だがレオン、お前
がそこの彼女と別れるまで、レオンは日
本には返さない」
「……」
「そこの彼女──美姫さんといったかな
。君も、悪いことは言わないから、レオ
ンとは別れなさい。……君だって、レオ
ンの邪魔はしたくないだろ」
そんなお父さんの言葉に、思わずビクッ
と肩が跳ねた。


