すると山田君は、「親父の部屋」と淡々
と言った。
え、山田君のお父さんの……!?
どうしようどうしようすっごい緊張する
んだけど!なんて思っていると、スイが
一歩前へと出て、ドアをノックした。
「旦那様。連れて参りました」
「──入れ」
ドアの向こうから聞こえてきた、低い声
。思わずビクリとすくんでしまう。
スイが、ゆっくりとドアを開ける。
「中へどうぞ」
そんなスイの言葉と共に踏み入れたそこ
は、本当にどこかのお城のようだった。
キラキラ光るシャンデリア。
床一面を覆いつくす、ふわふわのカーペ
ット。
広さもあり得ないくらい広い。多分、教
室何個分かある。
そして、そこに立っていたのは、すごく
綺麗な男の人だった。


