「──き……美姫っ!」



誰かに呼ばれる声がして目を開けると、
目の前に山田君のドアップが映って、思
わず「わぁっ!」と悲鳴をあげた。



勢いよく飛び退いた私の目に映ったのは
見たことのない部屋だった。



「ここどこ……?」



床は高級そうな赤いふわふわの絨毯。

壁にはいくつもの絵が飾ってあって、天
井からはキラキラと眩しいシャンデリア
がぶら下がっている。



まるで、お伽の国のお城のよう。



「……ここは、グロッサム宮殿。俺ん家
だよ」

「へえ、山田君のお家か~…へっ!?」



や、山田君のお家!?


いやいやいや、意味わかんないんですけ
ど!?


目をまん丸にさせながら山田君を見ると
、山田君が苦虫を噛み潰したような顔を
する。



「……天界に飛ばされたっぽいな」