ニコリともせずに、先輩を見下ろすよう
にしてそう言った山田君は、そのまます
たすたと歩いていってしまった。
先輩が、両手を振り上げて、満面の笑み
のままで彫刻のように固まっている。
「せ、先輩……?」
恐る恐る声をかけてみると、先輩はハッ
としたように数回、瞬きをした。
「……今、レオレオの口からとんでもな
い毒が吐き出されたような……?」
う~ん、気のせいか、と首を傾げてる先
輩。
……いや、現実ですよ、とは言えない。
未だに不思議そうにしている先輩に苦笑
いしてから、山田君の元へと寄った。
山田君は、唇を固く引き結んで、休むこ
とさえせずに、弓を放ち続けている。
どこか近寄りがたい雰囲気の山田君に、
私はそうっと話かけた。
「……なんでそんなにイライラしてんの
さ」


