──翌日。
朝練に行こうと、通学鞄を肩にかけて、
部屋を出ようとした私に、山田君が声を
かけてきた。
「……部活、行くのか?」
「行くよ。当たり前じゃん、なんで?」
すると、いやなんでって……、と気まず
そうに言葉を濁らせる山田君。
……ああ、そういうことね。
山田君が何を言いたいのかがわかって、
私は小さく笑った。
「先輩の事なら、大丈夫」
昨日いっぱい泣いたし。
もう、吹っ切れた。……と、思う。
そりゃ、すぐに先輩を好きだった気持ち
は忘れられないけど……でも、先輩をみ
て、ドキドキしたりはもうしない。
先輩は、ただの馬鹿な先輩、として、新
しく認識されるから。


