帰り道、不意に気になってそう訊いてみ
た。
そんなにチョコレートケーキが食べたか
ったの?
「あれは、俺への報酬だよ」
「報酬?」
「結果はどうあれ、ここまで手伝ってや
ったんだから、見返りがあったっていい
だろ」
まあ確かに、山田君のお給料、きっと下
がっちゃたもんね。
でも、報酬が失恋したチョコレートなん
て……。
「縁起、悪いよ」
そう呟くと、山田君はチラッと私を見て
から、不機嫌そうに唇を尖らせた。
「いいだろ別に。俺が食いたかったんだ
から」
なにそれ。
……なんでちょっと嬉しいこと言ってく
れちゃってんの?
「ありがとう、山田君」


