私が固まっているうちに、後ろからサッ
と手が伸びてきて、私のチョコレートケ
ーキを拐う。
それに驚いて、慌てて後ろを振り返ると
、そこには、ケーキに噛みつく、山田君
が立っていた。
「や、山田君!?」
山田君は、口の端についたチョコレート
をペロリと舌で器用に舐めとってから、
私を見下ろすと、
「なんだよ」
と言った。
いやいや!!
なんだよっていうか……え!?
「な、なんでここに…」
「俺がどこに居ようと、俺の勝手だろ」
「それはそうだけど──……」
そこで、気付いた。
山田君は、私の様子を見に来てくれたん
だ。


