そう言いながら愛璃が手にしたのは、ピ
ンク色の箱。
「可愛くて良いんじゃない?愛璃にピッ
タリだよ」
「ふふ、ありがとう~。美姫ちんはどう
するの?」
「うーん……これとか?」
そう言って私が手に取ったのは、白い箱
に、金色の線が一本入っただけの、シン
プルなデザインのもの。
「別にいいけど……でも、シンプルすぎ
じゃない?」
「別にいいんだよ、シンプルで」
そんな張り切ってると思われたくないし
。可愛いモノは、私には似合わないし。
「じゃあ決定だね!材料は、私が用意し
てあげるねっ!」
「え!?それは悪いよ!」
ケーキ作るのに、そんな数百円で済む訳
がないし。
「いいのいいの!どうせほとんど、使う
材料なんて一緒だし!今年は特別だよ」
「……ありがとう」


