思わずそう呟くと、愛璃が怪訝な顔をし
た。
「似合わないってなにそれ?こういうの
、似合うとか似合わないとか、そういう
問題じゃないでしょ。ほら行くよ!」
そう言って、私の手を引っ張っていく愛
璃。
抵抗を感じていた店内だったけれど、入
ってしまえば、割りと普通だった。
愛璃に連れられてやってきたのは、レシ
ピ本が並ぶ棚。
「簡単に作れるチョコレート」から「上
級者向けのチョコレートレシピ」という
題名のモノまで、幅広く取り扱われてい
る。
「美姫ちんは何作るか決まってるの?」
「いやまだなんも……」
だってチョコレート溶かして、カップに
注ぐだけじゃ駄目なんでしょ?
「愛璃は何作るの?」
「今年はね、チョコレートケーキを作ろ
うかなって思ってるんだー」
「チョコレートケーキ?」


