先輩の口から咄嗟に出てきたのが、私じ
ゃなくて、山田君の名前が先だったのは
、気にしないでおく。
そして、じゃあとりあえず、行こうか、
と歩き出そうとしたとき。
「あ、すいません。急用を思い出しまし
た」
山田君が、そう言った。
え、待って、速くない?
まだ三人で集まっただけなのに、もう抜
けるの!?
まだ心の準備が出来てないんですけど!
「そういうわけなんで、すいません。美
姫さんも、ごめんね?」
そう、最後にふわりと天使のように微笑
んでから、呆気にとられる私と先輩を残
し、去っていった山田君。
「……。」
「……。」
そして、沈黙。


