さっきから聞こえてくる鬱陶しい声と、
視界にちらつく、キラキラな爽やか笑顔
を、視界を逸らして完璧に遮断する。
そんな私に、焦ったような愛璃が声をか
けてきた。
「ちょっと美姫ちん、レオン君、すっご
い熱心に美姫ちんに話かけてるよ!?」
「大丈夫、ほっといていいから」
「でも、美姫ちんに無視されるたび、捨
てられた仔犬みたいな表情になってるよ
!?」
愛璃、落ち着いて。
その表情は、仮面だから。
すると、後ろから、悲しげな声が聞こえ
てきた。
「美姫さん……僕のこと、嫌いになっち
ゃったんですか?」
好きになった覚えもありませんけど。
あれから。
イチャイチャなんて絶対無理だし、きっ
と山田君だって私をからかうために言っ
たに違いない。


