【完】恋のキューピットは山田君!






女の子扱いなんて今までしなかったくせ
に……。



「あ、たこ焼きある!美姫、たこ焼き食
べよたこ焼き!」

「あ、はい」

「あ、あっちにはタピオカジュース!」

「ちょ、先輩……」

「ちょ!クレープもあんじゃん!」



意気揚々と、あちこちに走り回っていく
先輩。



繋いでいた手はいつの間にか離れていて
先輩は目先の食べ物に夢中だ。



そんな先輩を見ながら、"ああ、人って
こうやって迷子になるんだなあ"と思っ
た。




──二時間後。



「ふぁー、お腹いっぱい~」

「そりゃそんだけ食べたらお腹もふくれ
ますよ」



満足そうな表情でお腹をさする先輩に、
私はそう呆れたように言った。