何事かと思って、掴まれた腕の主を辿る
と、そこには小さく微笑んでる先輩が居
た。
「大丈夫?」
「あ、ありがとうございます……」
声が上擦らないように気を付けながら、
そうお礼を言う。
……ああ、もう。
静かにしろよ、心臓。
「また迷子になりそうになったら危ない
から、こうして手繋いどこうか」
「迷子って……。子供扱いしないで下さ
い」
ちょっと唇を尖らせながらそう言うと、
先輩がクスクスと笑う。
「子供扱いなんかじゃないよ。美姫は女
の子だから危ないでしょってこと」
「っ、」
私は、慌てて真っ赤になってしまった顔
を隠すように顔を背けた。


