いつも聞いてるその声に、胸がトクトク
と脈打つ。
声のする方を見れば、そこにはやっぱり
先輩が立っていた。
ちょっと息を切らした先輩は、「ごめん
ねー」と苦笑いした。
「ちょっとクラスの奴に捕まっててさあ
。遅れちゃったんだよ」
「それは別に……平気なんで」
「そっかーそれなら良いんだけど。てい
うか今日、すっごい可愛いね美姫!」
「っ、」
一瞬で顔が熱くなったのがわかった。
先輩は、不意討ちでさらっとそういうこ
とを言っちゃうから狡い。
私だけドキドキして、不公平だ。
「それ、なんの衣装なの?」
「不思議の国のアリスです」
「ああ、アリスかー!」
へー、なんて言いながら、私の髪の毛を
くるくると指に巻き付けて遊ぶ先輩。


