【完】恋のキューピットは山田君!






いつも聞いてるその声に、胸がトクトク
と脈打つ。



声のする方を見れば、そこにはやっぱり
先輩が立っていた。



ちょっと息を切らした先輩は、「ごめん
ねー」と苦笑いした。



「ちょっとクラスの奴に捕まっててさあ
。遅れちゃったんだよ」

「それは別に……平気なんで」

「そっかーそれなら良いんだけど。てい
うか今日、すっごい可愛いね美姫!」

「っ、」



一瞬で顔が熱くなったのがわかった。



先輩は、不意討ちでさらっとそういうこ
とを言っちゃうから狡い。



私だけドキドキして、不公平だ。



「それ、なんの衣装なの?」

「不思議の国のアリスです」

「ああ、アリスかー!」



へー、なんて言いながら、私の髪の毛を
くるくると指に巻き付けて遊ぶ先輩。