多分山田君は忙しくなるんじゃないかな
あ。
女子は山田君に何を着せようかと目の色
を変えてるし、男子は山田君を体のいい
客寄せ材料に使おうと意気込んでるし。
あっちこっち、引っ張りだこなんじゃな
いのかな。
「……祭り?それはいつやるんだ?」
「来週の土曜日だよ」
だから結構切羽詰まってるんだよねー、
なんて笑っていると、不意に、山田君が
真剣な眼差しを向けてきて。
そのまま、ガシッと私の両肩を掴んだ。
「え、ちょ、山田君?」
「美姫……チャンスだ!」
え、なんの?
コテン、と首を傾げる私に、山田君が顔
を険しくさせる。
「美姫、俺は思ったんだ。転校して数日
、ずっと美姫と大川の仲を見守っていた
けど……」


