秋、といえば、なにがあるでしょう? 「そりゃあ、学園祭でしょ!」 そう嬉々とした表情で言ったのは、私─ ─ではなく、愛璃。 キラキラした笑顔で、そう言ってくる。 「う、うん。愛璃、それはわかったけど ……近くない?」 苦笑いしながらそう言う。 今の愛璃と私の距離は、多分十センチに も満たない。鼻先が触れそうなほど、近 い。 「ねえ美姫ちん!文化祭だよっ!」 「そうだね、もうすぐね」 「年に一度の、文化祭だよっ!」 しつこいくらい、念を押すようにそうい う愛璃。