嘘でしょ?
いくらなんでも強引すぎる……。
はあ、と大きくため息をつくと、上から
降ってきた、聞くだけで胸焼けしそうな
声。
「皆さんお優しいですね。よろしくお願
いしますね、美姫さん」
だけど……だけど山田君。
言葉はすごく爽やかなくせに、いたずら
っ子みたいな笑みを浮かべるのはちょっ
と可笑しいですよ……。
山田君は、しばらく王子様みたいなレオ
ンを演じていた。
だけど。
「ここが、中庭で……」
人気のない中庭に来ると、不意に、それ
まで笑みを称えていた山田君から、笑み
が一瞬で消え去った。
あまりのその変わりように、暫く呆けて
しまったほどだ。


